インディゴ――迷路を作っていたら、藍の歴史にたどり着いた

ボードゲームには、名前を聞いただけでは「それって何?」となるものがあります。
今回遊んだのは、その名も**「インディゴ(Indigo)」**。
ゲームとしては、タイルを置いて道をつなぎ、宝石を出口まで運んでいくゲームです。
……と、ここまで聞くと、
「なるほど。道をつなぐゲームね」
となるんですが、実際に遊んでみると、私の場合はそこから少し話が変わりました。
ひたすら迷路を作っている。
これが、なんとも楽しい。
まずは「インディゴ」というゲーム
インディゴは、ドイツのゲームデザイナー、ライナー・クニツィアによるタイル配置系のボードゲームです。
プレイヤーはタイルを配置して道を作り、その道を通って宝石をボードの外へ運び出していきます。
面白いのは、ただ自分だけの道を作ればいいわけではないところ。
道が途中で分岐したり、他のプレイヤーと共有する出口につながったりするため、
「こっちにつなげたい」
と思っていた道が、思わぬ方向へ伸びていきます。
タイルを一枚置く。
すると道が変わる。
また一枚置く。
さらに道が変わる。
気がつけば、目の前にはどんどん複雑な迷路が出来上がっていきます。
私はこういうのが好きなんですよ。
迷路を作っているだけで、なんだか楽しい。
そして宝石をどの出口へ持っていくかを考えているうちに、
「おや、この流れなら相手の繋いでるあの道をこっちにもってこれちゃうんとちゃうけ?」
なんて考え始める。
シンプルなのに、盤面が変化していくことで考えることが増えていくゲームです。
そして、ここで私はふと思いました。
そもそも「インディゴ」って何なんだ?
インディゴって、何色?
インディゴ(indigo)とは、もともと藍色を意味する言葉です。
そして、その名前のもとになったのが、藍から取れる染料。
日本で「藍染め」と聞けば、あの深い青色を思い浮かべる人も多いと思います。
ところが調べてみると、この藍の歴史がとんでもなく古い。
なんと、現在確認されている最古級のインディゴ染色の例では、約6,000年前のペルーの織物からインディゴ系の染料が確認されています。
つまり、
「近代にできた洒落こいたメイビーブルー(注・ただの青のことです)」
なんてもんじゃございやせんでした。
人類、めちゃくちゃ昔から青く染めていた。
しかも面白いことに、インディゴ染料は世界の一か所で発明され、それが全世界に広がったという単純な話でもありません。
インディゴを生み出す植物は複数存在し、地域ごとに藍を利用する文化が発達していきました。
日本でもタデアイなどを利用した藍染めの文化が発達しています。
「インディゴ」という名前はどこから来た?
さらに名前を調べてみると、これも面白い。
英語の「indigo」は、もともとギリシャ語のindikonに由来するとされています。
意味はおおまかに、
「インドのもの」
という感じ。
インドからもたらされる藍が、古くから重要な交易品だったことが名前にも残っているわけです。
つまり「インディゴ」という言葉を一つ掘っただけで、
藍 → インド → 交易 → 世界各地の染色文化
と話が広がっていく。
名前って、調べてみると意外と歴史を背負っているんですね。
そして登場するBASF
さらに調べていると、今度はBASFというドイツの化学会社が出てきました。
BASFは1865年にドイツで設立された化学会社です。
そして19世紀末、天然の藍に代わる合成インディゴの工業生産に成功します。
1897年には「Indigo Pure BASF」という合成インディゴを発売。
BASFによれば、この開発には17年もの研究期間がかかり、投じられた費用は1,800万ゴールドマルク(現在価格約281億円!!)。当時の同社の資本金を上回る規模だったそうです。
いやいや。
藍色を作るのに、そこまでやりますか。
と思ってしまいます。
でも、この合成インディゴの登場は、染料の歴史にとって大きな転換点でした。
天然の植物から染料を取るだけではなく、化学的に同じ色を作り出せるようになった。
そして現在、私たちが身につけている青いジーンズにもインディゴ染料が使われています。
そう考えると、
「インディゴ」
という一見シンプルな名前の中に、
古代の染色文化から、インドとの交易、近代化学、そしてジーンズまで
つながっているわけです。
にしても開発費用か大金過ぎるきがしちゃいますね。
庶民の私は思ってしまいますよ。タデでいいでしょうがタデで!!と。
そんなことを調べてから、もう一度ゲームを見る
さて。
ここまでインディゴの歴史を調べたところで、もう一度ゲームの箱を見ます。
「INDIGO」
……。
いや、ゲームは普通に迷路です。
(笑)
歴史を何千年掘り下げたところで、私がゲーム中にやっていることは、
タイルを置く。
道が伸びる。
宝石が動く。
またタイルを置く。
道が分岐する。
「こっちに行ったらどうなるんだ?」
またタイルを置く。
そして気がつく。
私はゲームをしながら、ひたすら迷路を作っている。
これが楽しい。
インディゴという言葉について調べてみたら、思いがけず藍の長い歴史を知ることになりました。
でも、そんな壮大な歴史を知ったあとでも、私のインディゴの楽しみ方はいたって単純。
目の前に道を作る。
そして、その道の先にある宝石を眺める。
「こっちか!」
……違う。
「あぁ、道筋ずらしやがった!!」
また遠くなっていく。
いつも通り息子二人の無言の連携。
いつの間にか私を敵と見立てての、ボーイズ(息子二人)VS私の構図。
「2対1」。
敵うはずもなく、ずるずると私の陣地から宝石が遠のいてゆきます。
そんなことおかまいなしに盤面は少しずつ迷路になっていく。
ここは大人の妙計。宝石獲得手前で、「ほれみたことか!」
と、道をずらしますが、なんてことはない。次のターン、調整からの子供たちの本筋に戻り宝石回収。
「勝てるわっきゃない!!」私の慟哭が部屋に響きます。
でもね、なんだか楽しいんですよね。
今回インディゴを遊んでみて、一つ勉強になりました。
インディゴは、ただの「藍色」という名前じゃなかった。
何千年ものあいだ、人間が使ってきた色だった。
そして私はその長い歴史を持つ「インディゴ」という名前のゲームで、
今日も道を繋げては相手陣地にもってかれ。ボコボコにされてます。
青タン(インディゴ)できるほど!!
ちゃんちゃん。

コメント