UNOフリップ――ひっくり返ったら、UNOが終わらなくなった
UNO。
知らない人を探すほうが難しいんじゃないかと思うくらい有名なカードゲームです。
色か数字を合わせてカードを出していき、手札がなくなったら勝ち。
ルールも簡単。
子どもでも大人でも遊べる。
そんなUNOに、カードの両面を使い「ひっくり返す」という仕掛けを加えたのがUNOフリップです。
これが、なかなか面白い。
そして我が家で遊んでみると……
なかなか終わらない(ゲームを終わらせる気が無い奴が現れる(勝利するという目的の欠如、代わりに相手への大量ドローが第一義となる子供の覚醒!!))。
今回は、そんなUNOフリップについて書いてみます。
UNOフリップってどんなゲーム?
基本は普通のUNOです。
カードを色や数字で合わせながら出していき、手札を減らしていきます。
違うのは、カードが両面仕様になっていること。
最初は「ライトサイド(通常の赤、青、黄、緑のヤツ)」で遊びます。
そして「FLIP(フリップ)」カードが出されると……
全員の手札をひっくり返します。
さらに、場のカードも、山札もひっくり返します。
つまり、ゲームそのものが一気に裏返る。
ライトサイドでは普通のUNOに近いのですが、裏側の「ダークサイド(オレンジ、紫、ピンク、ターコイズの深い味わいの4色)」には、より強烈なカードが入っています。
例えばライトサイドの「ドロー1」は、ダークサイドになるとドロー5。
さらにダークサイドには、次の人ではなく**全員をスキップする「Skip Everyone」**などもあります。なんともご機嫌なアメリカの朝、といった感じの語感ですね。「Skip Everyone」
公式ルールでは112枚のカードが入っていて、ライトサイドとダークサイドで数字・色・特殊カードの構成が変わります。
要するに、
普通のUNOをやっていたら、突然ゲームの世界が裏返る。
それがUNOフリップです。
そして我が家では、こうなる
ここからは完全に我が家の話です。
我が家ではUNOを遊ぶとき、ちょっと大富豪っぽいローカルルールを入れています。
例えば、
同じ数字なら、まとめて出してOK。
「7」が3枚あったら、
7・7・7!
と一気に出せます。
さらに、
同じ色なら連続で出してOK。
赤のカードが何枚もあれば、
赤→赤→赤→赤……
と一気に処理できます。
特殊カードも同様。
ドロー系のカードもまとめて出せます。
これが意外といい。
なぜなら、UNOフリップのダークサイドに行くと……
手札がものすごい勢いで増えるからです。
特に子どもと遊んでいると、
「相手にカードを引かせる!」
ということが、いつの間にかゲームの目的になってきます。
ドロー5を持っていたら使いたい。
しかも複数枚持っていたら、
「全部いったれ!」
となる。
一気に10枚、15枚、20枚……。
場合によっては、
一発で30枚くらい引くことすらある。
もうUNOというより、
「チキチキ誰が大量にドローさせるか選手権!!」
になっています。
ところが、我が家ではここに一つ面白いブレーキがあります。
ドローを重ねすぎると……
相手もドローを持っている可能性がある。
「よっしゃ、ドロー5を3枚!」
↓
「じゃあ俺もドロー5!」
↓
「……え?」
となるわけです。
だから、強いカードを全部ぶっ放せばいいわけでもない。
攻撃したい気持ちと、反撃される怖さ。
このへんが妙にいいバランスになっています。
そして、同じ数字や同色カードをまとめて出せるので、大量に増えた手札を一気に処理することもできます。
つまり我が家のUNOフリップは、
「相手に何枚引かせるか」
だけではなく、
「自分の手札をいつ、どうやって一気に減らすか」
というゲームにもなっています。
公式ルールとは違いますが、何度も遊んでいるうちに、我が家ではなんとなくこの形に落ち着きました。
UNOには、いろんな仲間がいる
皆さんご存知でしょうか?
UNOには、実はかなりたくさんの派生作品があります。
例えばUNO Flex。
カードに通常とは違う使い方ができる「フレックス」の要素が加わっています。
UNO All Wildは、名前の通り、基本的にすべてのカードがワイルド。
通常のUNOとはかなり違った展開になります。
そして有名なのがUNO Attack。
こちらはカードを引く代わりに、専用の機械を使ってカードが飛び出す仕組み。
さらにUNOフリップとUNO Attackを組み合わせたUNO Flip Attackのような商品もあります。
ほかにもUNO Showdown、UNO Triple Playなど、電子ギミックや反射神経を取り入れた派生作があります。Mattelの公式商品一覧を見るだけでも、かなりの種類が確認できます。
UNOって、ただの一つのカードゲームというより、
「UNOという基本システムを使って、いろんな遊び方を試しているシリーズ」
みたいなところがあります。
そして、これだけ派生があるということは……
そもそもUNOって、どうやって生まれたんでしょう?
UNOの始まりは、理髪店だった
UNOが誕生したのは1971年。
作ったのは、アメリカ・オハイオ州の**Merle Robbins(マール・ロビンス)**という理髪師です。
ロビンス一家はカードゲームが好きで、特に**Crazy Eights(クレイジーエイト)**をよく遊んでいました。
ところが、このゲームにはいろいろなローカルルールがあり、家族で遊んでいるとルールについて意見が食い違うことがあったそうです。
そこでロビンスは、カードに自分たちのルールを書き込んで遊んでみました。
すると……
こっちのほうが分かりやすい。
しかも、子どもでも遊びやすい。
だったら、
このルール専用のカードを作ったらいいんじゃないか?
こうしてUNOが形になっていきます。
最初に作ったのは、たった5000個
ロビンス夫妻はゲームの商品化に乗り出します。
そして、なんと5000個を製造。
資金には自宅を売ったお金などを使ったとされています。
最初のUNOは、なんとロビンス本人の理髪店で販売されました。
ゲームを作った場所が巨大なゲーム会社の開発室ではなく、
理髪店。
これだけでもかなり面白い話です。
さらに夫妻は、車とキャンピングトレーラーでゲームを持って各地を回り、キャンプ場などで実際に遊んでもらいながらUNOを販売しました。
そして5000個を売り切る。
そこで、
さらに10000個を注文。
小さな自作ゲームが、少しずつ商品になっていきました。
UNOに人生を賭けた男、Bob Tezak
ここで登場するのがRobert “Bob” Tezakです。
テザックはイリノイ州ジョリエットの人物で、家族は花屋と葬儀場を営んでいました。
1971年の感謝祭の週末、テザックは知人のBill AppleからUNOを紹介されます。
そして、めちゃくちゃ遊んだ。
当時のUPIの記事では、天候が悪かった週末だったため、彼らはUNOを何度も何度も遊んだとテザック自身が語っています。
テザックは、
「これはCrazy Eightsを簡単にしたようなゲームだ」
と感じ、さらに改良できるところがあると考えました。
そして1972年、テザックたちはロビンスからUNOの権利を買い取ります。
ここからUNOは、個人が作ったカードゲームから、本格的な商品へと変わっていきます。
まさかの「葬儀場の隣」でUNOを作る
ここが個人的には一番好きなUNO史です。
テザックたちは**International Games Inc.**という会社を作ります。
そして最初の仕事場は……
テザック家の花屋の裏。
しかも、その隣には葬儀場。
つまり、
花屋+葬儀場+その裏でUNO。
すごい会社の始まりです。
当時のUPIの記事によれば、銀行員だったEd Ackemanも会社に加わり、テザックは葬儀場の仕事を続けながら、夜にはUNOのカードをまとめたり包装したりしていたそうです。
最初の年に売れたのは5000個。
まだまだ大企業とは程遠い。
ところが、ここからUNOは少しずつ知られるようになります。
Bozo the Clown、そしてウォルマート
UNOが広がるきっかけの一つになったのが、当時人気だった子ども向け番組The Bozo Show。
1973年、International Gamesは番組の景品としてUNOを提供しました。
その露出がきっかけとなり、大手小売チェーンからの注文につながっていきます。
そして1977年には、ウォルマート創業者のSam Waltonとの、ちょっと出来すぎたエピソードまであります。
テザックがウォルマート本社でUNOを売り込んでいたところ、サム・ウォルトンが入ってきた。
そしてUNOの話を聞いたウォルトンが、購入を指示した。
この出来事が大きな販売につながったと、テザック自身が当時のUPI取材で語っています。
こうしてUNOは、少しずつ大きくなっていきました。
そしてMattelへ
UNOはInternational Gamesの代表的な商品として成長。
その後、1996年にMattelがUNOの権利を取得し、現在のMattelのUNOへとつながります。The Strong National Museum of Playも1996年のMattelによる取得を記録しています。
今では世界的に知られるカードゲーム。
でも、その出発点は、
家族でCrazy Eightsを遊んでいた理髪師のお父さん。
そこから、
5000個作る。
↓
理髪店で売る。
↓
キャンピングカーで売り歩く。
↓
別のUNO好きがゲームに惚れ込む。
↓
花屋と葬儀場の裏で会社を始める。
↓
世界的なカードゲームになる。
……こうして見ると、UNOってなかなか凄い人生を歩んでいます。
そしてUNOフリップへ
そんなUNOの長い歴史の中で登場したのがUNOフリップ。
2019年前後に商品化されたこのゲームは、イギリスの玩具・ゲーム開発会社CarterbenchがMattelと開発したものです。
CarterbenchのSuzanne RobinsonとJim Keenanによれば、UNOフリップのアイデアは、もともとのUNOで遊んでいたときに出てきた**「Eureka!(ひらめいた!)」というアイデア**だったそうです。
「カードを両面にして、ひっくり返したらどうだろう?」
という発想。
最初はかなり大胆なアイデアだったものの、実際に試してみると、
「UNOの基本的な遊び方を大きく変えずに、新しい仕掛けを加えられる」
ことが分かった。
そして面白いことに、Carterbenchによれば、最終製品は最初にMattelへ提案したコンセプトからかなり近い形で完成したそうです。
これって、UNOフリップを遊んでみると結構納得できます。
ゲームそのものはUNO。
でもカードをひっくり返すだけで、
「もう一つのUNO」
が現れる。
ライトサイドからダークサイドへ。
ドロー1がドロー5になり、
スキップが「全員スキップ」になり、
そしてまたFLIPすれば元の世界へ戻る。
シンプルなのに、ちゃんとゲームの景色が変わる。
そして今日も我が家では……
そんな歴史のあるUNOを、我が家ではさらにお家ルールにして遊んでいます。
同じ数字ならまとめ出し。
同じ色なら連続出し。
特殊カードも同じ。
そしてダークサイドに行けば、
「誰に何枚引かせるか」
の仁義なき戦いが始まる。
子どもたちは、
「自分の手札を減らそう」
というより、
「パパにいっぱい引かせたい!」
になっている。
でも、それも含めて楽しい。
ゲームって、こういうところが面白いんですよね。
最初は誰かが作ったルールで遊んでいたのに、
何度も遊んでいるうちに、
「うちではこうしたほうが面白い」
というルールが生まれてくる。
そもそものUNOだって、家族で遊んでいたCrazy Eightsから生まれたゲームでした。
そう考えると、我が家のUNOフリップも……
ちょっとくらい勝手に進化してもいいのかもしれません。
ただし。
「ダークサイド」で30枚引かせてからの「ライトサイド」戻しの、素知らぬ顔でUNO宣言だけは、
勘弁してください。


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